私のワシントン

大成功に終わった「第3日ダラスオフ会」ですが、今回は何時もと趣向を変えて“その日・その時”をダラスではなく、アーリントン墓地にあるJFKの墓前で祈るという、正に命日のお墓参りとなりました。当然の事ながらアーリントン墓地での行動以外は各自の自由行動となり、参加者は思い思いのスケジュールを組んでのワシントンDC散策となったのです。2度目の訪問となる私は今回の行動予定表が前田さんから届いた瞬間に、9年前には実現出来なかったプランを実行することにしたのです。そのプランとは、1973年に公開されるや、その話題性からオカルトブームという社会現象まで生んだWB製作、ウィリアム・フリードキン監督よるオカルト映画「エクソシスト」の舞台となったジョージ・タウンの通称「エクソシスト・ステップ」と呼ばれている場所を訪れることです。もともとワシントンDCは、アメリカの首都ということから映画の舞台には事欠かない場所で、たとえば、「未知への飛行(Fail Safe)」(1964年)はシドニー・ルメット監督作品で、熱烈なケネディ支持者であり、JFKやジャッキーとも親交があった名優ヘンリー・フォンダが主演の冷戦期の核戦争の恐怖を描いた傑作がありました。またペンシルベニア通りにあるFBI本部ビルを舞台に、UFOや怪奇現象を調査する架空の部署を描いて大ヒットしたTVシリーズ「X-ファイル」もありました。そして我々JFKクラブ・ジャパンのメンバーにとって欠かせない作品がオリバー・ストーン監督作品の「JFK}(1992年)となります。前回の「第1回ダラスオフ会」では、DC到着初日にツアー・バスでアーリントン墓地へ行き、国立公文書館・リンカーン記念館を見物して、3日目の自由行動で念願のホワイトハウス(当時の主はビル・クリントン)を初めスミソニアン博物館群を見物したのでした。さて、今回はDC到着初日の晩にアイシュタインの像で記念撮影をしてから、2度目のリンカーン記念館に行き寒風の中“永遠の炎”を感激しながら見ました。そしてその晩のイカゲソパーティも盛況の中終わり、DC2日目となりました。本日の目的は、午前中に前回は改修工事で足場が組まれていたワシントン記念塔を素晴らしい快晴の中で見ながら、ホワイトハウス、スミソニアン航空宇宙博物館、連邦議事堂、FBI本部ビル、フォード劇場、ピーターセン・ハウスという献立です。しかし行動開始が既に9時だったこともあり案の定、連邦議事堂は横目で見るだけでお終い。そのままペンシルベニア・アベニューへ向かいFBI本部ビルで記念撮影。FBIはBOI(司法省捜査局)時代から創立100周年で、記念の垂れ幕が掛かっていました。そして入れないフォード劇場の向かいにある、リンカーン臨終の部屋があるピーターセン・ハウスへ入ろうとしたところでタイム・アウト。13時までにアーリントン墓地のビジターセンターへ行かなくてはなりません。同行の猫太郎さんと植田君とタクシーで向かいました。昼飯抜きです!今回のワシントンDCでの最大の目標であるJFKの墓前で「その日、その時」を迎えました。この後、また自由行動となり私は土田先生ご夫妻とサリンジャー君と堀口さんと一緒に、スペースシャトル・チャレンジャー号で亡くなった人たちの慰霊碑、アーリントン墓地の衛兵の交替式やリー将軍の邸宅であるアーリントン・ハウスを先生の解説付きで見学出来ました。先生ご苦労様でした。本当はこの時、猫太郎さんと植田君も一緒のハズでしたが、RFKのお墓あたりから逸れてしまいました。ズンズン先に進んだ我々一向は、今度はタクシーで、私にとっては今日の大目標であるジュージ・タウンへ向かいました。ここはカトリック系の大学である、ジョージタウン大学が在り、学生の街として賑わっています。ここでの全員の目的は、NストリートでJFKが上院議員時代とジャクリーンとの新婚時代に住んだ家と、暗殺後にジャクリーンが住んだ家を見る事でした。このジョージタウンはとてもシックでヨーロッパ的な雰囲気で、私はボストンに似ていると感じました。ボストン生まれのJFKもそんな処が気に入っていたのではと勝手に思いました。ここまで足早に見学して来ましたが、私と堀口さんは土田先生ご夫妻とサリンジャー君とは別行動になり、いよいよ「エクシシストの階段」へと向かいました。正面にジョージ・タウン大学の塔を見ながらNストリートから36th・ストリートを左折して50メートルも歩くと、何となくそれらしい雰囲気がして来ました。前方の階段らしき処で記念撮影をしている人もいます。間違いありません。映画はポトマック川からの俯瞰撮影でモデルになった屋敷へ近づいて来ましたが、私たちは逆方向から最初に新宿で「エクソシスト」を見てから35年の年月を経て、実際に撮影された場所へ来たのでした。映画の存在は知っていたもののまだ未見であった堀口さんには悪いと思いながら、私は一人興奮していました。階段の下まで行った時は、映画監督惨殺事件を捜査するキンダーマン警部補演じる「12人の怒れる男」の名優リー・J・コッブ気取りでした。階段の下も上も、またモデルとなった屋敷までが30年以上経っているにも関わらず殆ど昔のままというのが驚きでした(帰ってから調べたら、屋敷は建て替えたようです)。その時点でまだ15時過ぎだったので、歩いていけばジョージタウン大学も見学出来たと今思っているのですが、その時は「エクソシスト・ステップ」に来られた満足感で一杯なのと、一日中歩いたので疲れも感じていたのでタクシーに乗ってホテルへ向かいました。走り始めて直ぐのプロスペクト・ストリートの歩道を見ると、アーリントンで逸れた猫太郎さんと植田君が二人で「エクソシスト・ステップ」の方角へ歩いているのが見えました。後で聞いたところでは、二人は独自に判断してリンカーン記念館などの後でジョージタウンへ何と徒歩で来たのだそうです。残念ながら直前まで来ながら「エクソシスト・ステップ」には行けなかったようですが、JFKの上院議員時代の住居は見物出来た様で安心しました。今回のワシントンDC訪問は中止されているホワイトハウスやFBI本部ビルの見学ツアーは仕方ないとしても、スミソニアンではアメリカ歴史博物館と歴代大統領のコーナーが有る肖像画美術館とピーターセン・ハウスへ入れなかったのが心残りですが、概ね満足のいく訪問となりました。ワシントンDCも前回のボストンのように最低でも3日間は滞在しないと満足した観光は出来ないと感じます。次回は何時になるか分りませんが、出来ればアメリカ最初の黒人大統領オバマさんが在任中に訪れたいものです。